カラダの細胞や魂が喜ぶ、いのちのつまった野菜つくりを追求し、自家採種、無肥料、自然農、自然農法、自然栽培を実践中。農薬を使用しないのではなく、そもそも使用する必要がないことが健康の証です!


by shizenchiyuryoku

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ムッシュー山下朝史とフレンチ。味覚をめぐる旅。



フランスに行ってきました。
ノルマンディー地方の美しい自然や食の底力を感じ、パリの食、美術、エンターテイメントを満喫してきました。このブログでは、農と食に特化してご紹介したいと思います。

山下朝史さんを御存知ですか。
NHKや情熱大陸等様々な番組で紹介されているのでご存じでしょうか。
私は本を読んで偶然知ったのですが、なぜかとても興味がわき、すぐにメールしました。そうしたら、パリ郊外のご自宅でお会いしていただけるとのうれしいご返事をいただき、訪問してきました。

簡単に山下さんをご紹介すると、フランスのグランシェフ(三つ星レストラン等)が競って野菜を求める野菜農家です。
たとえば、三つ星レストランであるアストランスのパスカル・バルボ、ホテルジョルジュサンクのエリック・ブリファー、トゥールダルジャンのローレン・デラーブルなどトップシェフたちです。
彼らは、料理の皿の質があがるとして山下さんの野菜を認め、特にかぶは奇跡のかぶと呼ばれています。

私は、日本人にとっての本物の健康と味を持つ野菜を追求してきました。そのため、フレンチレストランは野菜に求めるものが違うのだろうという思い込みをしていました。
ですが、なにかがひっかかったのです!
フランスと日本では土は違うのか、野菜は違うのか、世界トップの星付きレストランシェフは何を求めているのか?そして、私の野菜は彼らから見ると価値あるものなのか?おおいに興味がわきました。


パリから30分ほど。電車で着いた町(村?)は、駅から離れるにつれて広い農地が広がっていきます。この時期は、小麦、大麦、そして油をとるための菜種畑が広がっていました。

山下さんからは、農業をはじめたきっかけや経緯、野菜つくりの方法、シェフや世界のVIPとのエピソードなど、ざっくばらんにたっぷりお話しを伺うことが出来ました。

そして歓談の後は、いよいよ畑を案内していただけることに。
この時期、およそ3反のビニールハウスでは、マルチや不織布を利用しての栽培でした。
土は、本に書かれていたように、ガチガチの粘土で、指でほとんどへこみません。雨の後はきっと煉瓦のようになるのでは?というくらい、ご本人もおっしゃるとおり条件は良くないそうです。

この時期は旬ではないそうですが、小さめの大根、にんじん、かぶ、葉物(プチヴェール)等が植わっています。
山下さんがおもむろに野菜を抜き、手渡してくれます。
写真のとおり、ほうれんそう、ニンジン、大根、そして評判の奇跡のかぶです。
緊張の瞬間。土を指でぬぐい、心を静め、ゆっくりとかじります。

強いパンチある味です。えぐみはなく、少しの苦みと甘みがあります。噛むうちに味が変わっていきます。そして食べ終わっても口の中に余韻が残ります。食感も、しっかりと身がつまっていて、噛みごたえがあります。

私の野菜とは共通点もあり、相違点もあります。
力強さや味の濃さ、えぐみのなさは共通ですが、わたしのは優しい味で、山下さんのはパンチのある強い味です。

何がパンチの違いだろうか。
わからないけど、勝手に推察すると、
1.そもそもフランスと日本の風土の違いがあると思う。牛乳もチーズもバターも、日本のは水っぽいが、フランスのは濃厚だ。別物だ。
2.条件の悪いという粘土質や、水の流れ込みにより、そして寒さによる適度なストレスが生命力に生かされているのではないだろうか。
3.化学肥料を使っていないこと。
4.種は日本のF1種である。
5.ムッシュー山下の自信と個性が、野菜に乗り移っているのだろうか?

山下さんは、はじめからグランシェフに渡すための農業を始めたわけではなかったが、きっかけを大切につかみとりながらやってこられた。そして、常にシェフが求めることをイメージし、レストランの客の反応をイメージして野菜作りをしているという。
普段は日本食で、奥さんの週末レストランも日本食なのだが、外食するときは星付きレストランで味覚を鍛えているという。なるほど。

大いに刺激を受け、その味覚の世界を知りたくなり、山下さんに星付きレストランの予約をお願いしました。急にもかかわらず、ランチを予約してくださいました。ありがとうございます。
行ったのは、現在はひとつ星で、山下さんが大いに認めているシェフ Sylvain SendraのItinenaires。
http://www.restaurant-itineraires.com/

予約の時間に訪れ、楽しみながらも真剣に食べてきました。
おいしいワインをいただきながら、Amuse bouche, starter, fish, meat & desertを満喫しました。
fishでは、サーモンに付け合わせの大根、ビーツ、にんじん。大根は山下さんのものだそう。
大根は薄く輪切りにして、さっぱりと甘酢漬けにしてある。甘みと苦みのビーツや異なる甘みのにんじんとの味のグラデーションが楽しい。そして、野菜はサーモンを主役でなく脇役にしている。

このシェフは天才ですね。こういう料理をこれまで食べたことがなかったから、うまく表現できないけど、なんというか、すべての味がシャープであり、それぞれに異なる味を順番に、調和させながら、楽しませてくれる。という感じでしょうか。感覚的においしいというだけでなく、論理的にもおいしいという感覚をはじめて知り、感動でした。

私の野菜は、こういった一流のシェフにどう受け取られるのだろうか。無茶苦茶興味が出てきた。
少なくとも山下さんに食べてもらい感想を聞きたいとお伝えしたら、なんと私と同じ日に日本へ一時帰国され、2日後に囲む会があり、そこへ来てはどうかとのありがたいお誘い!感謝です。ムッシュー。

瞬時に、今自信を持って食べていただける旬の野菜はなにかを思い浮かべ、数は少ないが多少はあると思い、伺うことを決意した。帰国してその日に畑に向かい、味見をしながら選んだのは、半結球白菜、自生雑種の葉物、ねぎ、そしてえび芋である。

さて、囲む会の会場は六本木のイリゼというフレンチダイニングの店。一時帰国の山下さんも野菜を持ち帰り、また千葉タケイファームと鎌倉の加藤農園野菜も集まり、そして飛び入りの私も野菜を持ち込みました。それらをKシェフが様々な一品に仕上げていきます。
楽しいですねー。集まった野菜の姿を見ているので(自分のは生の味もわかっている)、シェフの手で作られた姿を見て楽しみ、そして味をイメージしながらイメージどおりだったり良い意味で裏切られたりするのがとても楽しかった。

私の半結球白菜はクリーム煮に。いやあ、美味しかった。生の野菜が持つ独特なかすかな苦みも上手に生かされ、いろんな味が混在している。生命力も失われていない感じ。
ネギも素材の味が活かされたまま焼かれてきた。
えび芋はフリットに。普段の日本風のねっとり甘み味とは違う、さっぱりほくほく味に。新鮮でした。
山下さんは皆さんのお相手に忙しく食べていただけてなかったようで残念でしたが、同席の方に濃厚で美味しいとほめられたので大満足でした。

今回のフランス行きをきっかけに、ムッシュー山下と出会い、フレンチの深さと面白さに目覚め、今までとは違う新境地を開かれました。今までは日本の伝統的野菜の滋養に富んだ優しい健康的な食べ方しかイメージしていなかったけれど、伝統野菜は力があるので違う方法でも活かせるということに開眼しました。健康野菜の追求がますます面白くなりました。


ムッシュー山下さん、あなたの野菜がパリでオートクチュールの野菜と呼ばれているように、私もブティック農園として励んでいきます。出会いと数多くの教えに心から感謝します。merci beaucoup.


山下さんの畑
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山下さんの野菜をかじる
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そして奇跡のかぶ(出荷より早い時期)
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六本木に持ち込まれた山下さんの野菜
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シェフの手にかかると
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私の半結球白菜のクリーム煮
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えび芋のフリット
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by shizenchiyuryoku | 2015-01-17 19:14 | Comments(0)

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