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カラダの細胞や魂が喜ぶ、いのちのつまった野菜つくりを追求し、自家採種、無肥料、自然農、自然農法、自然栽培を実践中。農薬を使用しないのではなく、そもそも使用する必要がないことが健康の証です!


by shizenchiyuryoku

神奈川の野菜は大丈夫

原発事故から2か月が経ち、情報が整ってきたので、久しぶりに放射能のことを書きます。

当初は超悲観的な私でしたが、現在は冷静になっています。
人間は情報がないとパニックになりやすい生き物であると、良くわかりました。

事故当初の水素爆発のときに大量の放射性物質が放出され、神奈川県にも飛んできました。その影響で、私の菜園のつくしやトウ立ち期の大根や白菜に異変が見られました。知人の雨水による苗の異常も同時期に起きています。
現在は、当初の放出量に比較してかなり落ち着いているため、畑でも異変は感じません。


以前に、頭の体操のために食品による被ばく計算の記事を書きました。
今回は中部大学の武田邦彦さんのブログを転載して、ひとつの指針としてみたいと思います。
そのうえで、神奈川県の発表数値を検討し、暫定の結論をだします。


まずは武田さんの5/2付けのブログから転載させていただきます。
武田さんの考え方については転載元の以下ブログでご判断ください。
http://takedanet.com/


以下コピー・・・・・・・・・

食材での被曝を減らすために必要な知識は、まず、簡単にまとめると次の通りです。

1.食材は1キログラムあたり10ベクレル(ヨウ素、セシウム)を下回る場合は、「安心して食べることができる」として良い。
2.現在のところ、肉類、コメなどが汚染されていないので、野菜と牛乳だけが問題なので、幸いなことに、野菜についは20ベクレルまで大丈夫。
3.野菜は「福島、茨城、栃木」の野菜は控える。東京や群馬、千葉、埼玉、宮城の多くの野菜も「規制値以下」ということで、データが公表されていないので、データが公表されるまで控えた方が良い(データが手に入れば、この(武田さんの)ブログに掲載します)。
4.産地が偽装される可能性が高いので、余裕があれば、関東以外で取れる旬の食材を求める。たとえば北海道産、九州産のように特徴があれば万全。
5.肉類と鶏卵は、福島県産の鶏肉、豚肉はギリギリで、しばらくしたら大丈夫になりそうだが、他の都県のものは10ベクレル以下で安全。牛乳についてはまた別に整理する。
6.岩手、秋田、新潟、長野、山梨、静岡と、それより遠い地域で10ベクレルを越えるような食材は見あたらない(安全)。
7.危険な食材しか得られない場合や自分で計算する場合の計算方法はこの記事の下の方に示す。

【説明】
データを集めるのに少し時間がかかりましたが、4月に入って全般的に汚染が少なくなって来たこと、肉類やコメが安全なことから、連休明けまで待っていて良かったと思います.

「ケース1: 食材が全体に汚れているとき(今は違うが、基本だから)」

一日に日本人は1.4キロの食品を取りますから、もし10ベクレルなら、
10ベクレル×1.4キロ×365日(1年)×2/100000=0.1ミリシーベルト
となります。最後の(2/100000)というややこしい数は、ベクレルからミリシーベルトへの換算です.
限度は、1年に1ミリシーベルトですから、食材からその10分の1は我慢しようということです。

上の計算は、「食材が全部、汚染されている時」で今は、お米と肉類が大丈夫なので、
「ケース2」

野菜は一日350グラム取るので、20ベクレルとすると、
20ベクレル×0.35キロ×365日×2/100000=0.05ミリシーベルトとなります。
また、仮に北海道などの野菜が売っていないので、日立産のホウレンソウと同じぐらい汚染された野菜を買ったとすると、4月22日のデータを使いますと、250ベクレルぐらいありますから、
250×0.35×365×2/100000=0.64となり、
「野菜だけでは1年1ミリに行かないけれど、全体の被曝量としては1ミリを越える可能性が高い」ことになります。

事実、空気中の放射線も1時間0.3マイクロシーベルトぐらいあり、それからの被曝が、
0.3マイクロ*365日×24時間=2.6ミリシーベルトになっているので、合計すると3.2ミリシーベルトになります。

茨城県北部の人は、空間の放射線だけで厳しいのに、さらに食材からの被曝が加算されますので、難しい事ですが、「放射線の強い地域ほど、野菜は放射線が含まれていないもの」を選ばなければいけない事が判ります.

・・・・・・・・・コピーここまで



さて、武田さんのブログの指針の1と2では、食材は10ベクレル/kg、野菜は20ベクレル/Kgとあります。
(3から6については今回の記事に関係ないし、各自でご判断くださいね。)
この基準を不服と思われたら仕方ないですが、私は妥当なものと捉えます。
国の野菜の暫定基準値はヨウ素が2000ベクレル、セシウムが500ベクレルでしたから。


では神奈川県の食材の汚染状況はどうでしょうか。
詳しくは神奈川県のHP(食品中の放射能データなど)をご確認いただくとして、主要なデータを貼り付けます。
http://www.pref.kanagawa.jp/sys/bousai/portal/6,4696,14.html

野菜類(きのこ・海藻を含む)(35検体)

採取日種類(産地)    核種別放射能濃度[Bq(ベクレル)/kg)]
                     放射性ヨウ素      放射性セシウム
5月2日ホウレンソウ(平塚市 露地) 不検出     不検出
5月2日コマツナ(相模原市 露地 ) 不検出      不検出
4月27日しいたけ(南足柄市 ハウス) 不検出      不検出
4月26日ホウレンソウ(横浜市 露地) 不検出      不検出
4月26日ホウレンソウ(平塚市 露地) 不検出      不検出
4月26日コマツナ(相模原市 露地) 不検出      不検出
4月25日しいたけ(小田原市 ハウス) 不検出      不検出
4月20日しいたけ(厚木市 ハウス) 不検出      不検出
4月19日コマツナ(相模原市 露地)  不検出      不検出
4月19日コマツナ(海老名市 露地)  不検出      21
4月19日ホウレンソウ(川崎市 露地) 不検出      不検出
4月14日しいたけ(二宮町 露地)  不検出       不検出
4月12日ホウレンソウ(横浜市 露地) 不検出      25
4月12日コマツナ(横浜市 露地)  不検出      35
4月12日コマツナ(相模原市 露地) 不検出      不検出
4月12日コマツナ(海老名市 露地) 不検出      56
4月5日ホウレンソウ(川崎市 露地)150        21.9
4月5日ホウレンソウ(厚木市 露地)240       175
4月5日ホウレンソウ(海老名市 露地)86       25.5
4月5日コマツナ(海老名市 露地)47       98
4月5日キャベツ(平塚市 露地) 不検出      不検出
3月29日キャベツ(三浦市 露地) 不検出      不検出
3月29日コマツナ(平塚市 露地) 130       108
3月29日ホウレンソウ(大井町 露地)1,000      136
3月29日ホウレンソウ(海老名市 露地)650       139
3月23日キャベツ(横須賀市 露地)不検出      不検出
3月23日キャベツ(三浦市 露地) 不検出      不検出
3月23日コマツナ(茅ヶ崎市 露地)540       117
3月23日コマツナ(横浜市 露地) 530        41
3月23日ホウレンソウ(相模原市 露地)1,300      185
3月23日ホウレンソウ(藤沢市 露地)600       47
3月21日ホウレンソウ(平塚市 露地)1,700      230
3月21日ホウレンソウ(海老名市 露地)670       152

食品衛生法上の暫定規制値     2,000       500


以上のデータの通り、ヨウ素、セシウムともに4月になってからは数値が低くなっていることが分かります。
ちなみに不検出というのは、決して0ということではないです。
神奈川県に問い合わせしたところ、野菜については20-30ベクレル以下については測定不可能であるようです。厳密な調査では1ベクレルから調べられるが、時間がかかりすぎるから、という見解で納得できます。
(※ちなみに神奈川県では野菜を洗浄してから計測しています。)

そうすると、武田さんの指標の「野菜なら20ベクレル」になんとか収まるかな、ということになります。


さて、上記の神奈川県のデータは野菜の個体についての汚染実態です。
次に考えるのは、土壌が汚染されていて、セシウムのように半減期が30年の場合は、作物に根から吸収されるのではないか、という疑問ですね。
神奈川県の調べではこうなっています。

土壌の採取場所(形態) 放射性セシウム ベクレル/kg  採土日  合計(134Cs+137Cs)

平塚市  露地畑     72              3月25日
相模原市  〃      202              〃
三浦市   〃      67                〃
小田原市 果樹園     97              3月30日
海老名市 露地畑     139             3月25日


上記のセシウムが根から作物に吸収される移行率は、大雑把に
玄米  政府発表は約10%(0.25-2.5%との専門家もいて、政府発表は相当厳しい基準とされる)
葉物  政府発表なし。約10-20%との専門家意見もある。野菜類のなかで最も多く移行するのが葉物。
根菜  政府発表なし。約2%との専門家意見あり。
とされていますので、
土壌のセシウムが100ベクレルならば、移行しやすい葉物で最大20ベクレルとなります。玄米なら最大10ベクレルとなります。


こうしてみると、神奈川県の野菜について、「食べても大丈夫」という見方はできると考えます。
もっとも現在の状態が悪化しないことが大前提です。
皆さんはどうか自分なりのフィルターで私の考えを解釈されるようお願いします。


神奈川の野菜は大丈夫_d0190369_23234355.jpg





(以下加筆修正:5月31日)
農水省が5月27日、放射性セシウム137が土壌から野菜へ移行する係数を発表しました。
現時点ではあくまで過去の論文などをとりまとめた参考値のようです。

私の計算式での移行係数よりかなり低いようです。
高めの移行係数のカラシナでも0.039です。(3.9%)
神奈川の発表数値である土壌汚染が100ー200ベクレルですから、
200×0.039=7.8ベクレル/Kgとなります。
武田邦彦さんの20ベクレル/Kg(年間1ミリシーベルト被曝の1割を食品から取ることを許容する)
に収まりますから、安心である、と判断することができます。

ホウレンソウ 0.00054
カラシナ   0.039
ハクサイ   0.0027
きゅうり   0.0068
そらまめ   0.012
ねぎ     0.0023
じゃがいも  0.011
さつまいも  0.033

詳細は農水省
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110527.html
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/pdf/110527-01.pdf
by shizenchiyuryoku | 2011-05-11 23:24

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